2021年9月2日
WBSとガントチャートの違いは?誰でも作れる無料テンプレあり
プロジェクト管理を行っていると「WBS」や「ガントチャート」というワードを耳にすることが多いと思います。
このコラムでは、プロジェクトを成功させるために活用すべきWBSとガントチャートついてご説明していきます。
また、本コラムには、エクセルで管理できる「WBS+ガントチャート」の無料テンプレートの用意もあるので、ぜひダウンロードしてご活用ください。
WBSとは
WBSとは、Work Breakdown Structureの略で、作業を分解して構造化することでプロジェクト管理ができるツールのことです。
プロジェクトがスタートする際に何から進めていいのかわからない、実際にプロジェクトが始まるとタスクの漏れが発生する、みんなのスケジュールに対する意識が統一されていない、といったような問題に直面し、プロジェクトがなかなか思う通りに進まないことがあると思います。
そんな時に活躍するのが作業を分解して構造化していく「WBS」です。
実際にWBSはタスクをなるべく細かく、例えば、それぞれのタスクの関係性がわかるように大タスク、中タスク、小タスクといったように分解します。また、すべてのタスクに担当者や作業開始日、終了日を設定し管理していくので、プロジェクトを成功させるための重要な役割を果たしてくれます。
【WBSで使われる項目例】
No・タスク(大タスク/中タスク/小タスク)・担当・ステータス・開始日時・終了日時
※担当するプロジェクトに応じてWBSの項目は追加・削除して管理するようにしてください。
WBSのメリット
WBSを作成するメリットは大きく5つあります。
・タスクの抜け漏れが防げる
発生するタスクを細かくあげて構造化をし可視化していくため、自身のタスクはもちろん、チームで動いている場合は各チームメンバーのタスクが把握でき、抜け漏れを防ぐことができます。
・担当範囲が明確になる
1つずつのタスクに担当者をつけていくため、だれがどんなタスクを行っているのか、タスクはどのようなスケジュール感で進んで行くのかを明確にすることができます。
また、不明点が発生した場合は、関連するタスクを対応している担当者名がWBSには記載されているため、だれに質問をすべきかが明確です。
・工数管理がしやすい
タスクを細かく洗い出し、開始日・終了日を入れていくので、各タスクの工数が把握しやすいです。
また、プロジェクト管理の責任者はその工数が適切かどうかも確認しやすくなります。
・現実的なスケジュール作成が可能
実際にスケジュールを作成してみたら、期日までの対応が難しい、そもそも人員が足りない、といった問題が出てくることがあると思います。WBSを作成することでこれらの問題を早期の段階で発見することができ、現実的なスケジュールを作成することが可能です。
・プロジェクトの全体タスクが把握できる
新規でサイトを立ち上げる、サイトをリニューアルする、となった場合、サイト規模や機能、利用する外部ツール、関係者などはさまざまで、すべてのプロジェクトにおいて同じタスクを羅列したWBSでプロジェクト管理をしていくことは不可能です。
プロジェクトごとに発生するタスクをWBSで管理していきますので、WBSを見ただけで、そのプロジェクトの全体像や規模感を把握することができます。
また、途中からプロジェクトに参加した場合でも、作成されたWBSを確認することで、同様に把握することが可能です。
WBSのデメリット
WBSは、しっかりと作成・運用できないとデメリットが発生します。
・タスク不足によるプロジェクト進行の遅延
プロジェクトに関する認識が曖昧な場合、アウトプットのイメージがつかず、タスク不足が発生します。
WBSを作成する際にタスクの漏れが発生してしまった場合、プロジェクト進行の遅延の原因となりかねません。
作成時にプロジェクトオーナーをはじめとするプロジェクトメンバー全員に発生する作業をヒアリングし、漏れなくタスクを洗い出すことが重要となります。
・細やかな運用
WBSは作成して終わりではありません。
計画通り進んでいるのか、といった進行管理はもちろん、プロジェクトが進んでいく中で追加の作業が出てくることがあります。
そういった場合は必ず作業を担当するメンバーにヒアリングを行い、発生するタスクをWBSに反映をした上で他に影響がないかを確認をするようにしましょう。
一番もったいないのは、WBSを作ったことに満足し、その後の運用ができていないことです。
トラプルが起きた時になってはじめて作成したWBSを見返しても、その時はすでに巻き返しが難しい状況になっていることが多いです。
作成したWBSがプロジェクトにとって何の意味もないものになり、結果プロジェクト成功への道が遠回りになってしまいます。
WBS作成時は、関係者へのヒアリングを行いタスクの漏れをなくし、作成後は、定期的にタスクの確認や進行管理を行い、変更や更新があった際は関係者への共有を忘れずに運用することを心がけましょう。
続いで、WBSと組み合わせてよく使われるガントチャートについてご説明していきます。
ガントチャートとは
ガントチャートとは、プロジェクトの進行をツリー構造や帯状グラフを利用してチャートにしたものです。
実際、カレンダー形式で利用することが多いので、いつからいつまでにどんなタスクを誰が対応すべきか、また、あと何日で終わらせないといけない、といったようにプロジェクトで発生するタスクとそのスケジュールが可視化され、進行具合が把握できるため、プロジェクト管理には最適です。
ガントチャートのメリット
・プロジェクトの進捗具合が可視化される
カレンダー形式でタスクの開始日と終了日がチャートで管理され、またそこにステータスや担当者が紐づいて管理されているため、プロジェクトの全体像を把握することができます。
またチャートで表現しているため、誰でも直観的に把握することができるので、プロジェクトメンバー全員で利用することが可能です。
・スケジュール遅延を早期発見でき、対応が可能
タスクの進行具合が把握しやすく、スケジュールの遅延にいち早く気が付くことができます。
スケジュール遅延の原因は、担当者のスキル不足、タスク過多、人員不足、その他のトラブル発生、など多くありますが、そのまま気が付かずに時間だけが経過してしまうと、後になって巻き返しが難しい状態になることがあります。
まずは、ガントチャートで進行状況をしっかりと管理し、少しでも遅延が発生しているようであれば、確認を行い最適な対応ができるように調整しましょう。
プロジェクト管理にはこの調整が非常に大切であり、ガントチャートは調整をいち早くできるものとしても利用が可能です。
ガントチャートのデメリット
ガントチャートとしてのデメリットは、ただ、タスクを同列で並べただけでは、タスク同士の関係性がわかりづらいことです。
タスクを分類することで、一目でタスクごとの関係性がわかるようにしましょう。
WBSとガントチャートの違い
また、そのタスクごとに担当者や開始日、終了日を決めてプロジェクト管理を行っていきます。
ガントチャートは発生するタスクのスケジュールをチャート形式で管理していきます。WBSを作成した際に洗い出されたタスクをガントチャート上で直観的に進行状況を把握・管理する、という使い方が一般的となります。WBSとガントチャートのそれぞれのメリットとデメリット、また、違いなどを理解したあとは、実際にWBSとガントチャートの作り方をご説明いたします。
まずは、WBSの作り方です。
WBSの作り方
WBSを作る際は、プロジェクトの目的に対する認識が異なるとのちに洗い出すタスクやスケジュール、優先度に差異が発生します。プロジェクトの要件や目的をしっかりと把握したうえで、WBSを作成するようにしましょう。
また、WBSはエクセルで作成する場合や有料の管理ツールを利用する場合があります。プロジェクトの性質や人数によって最適なものを選ぶようにしましょう。
WBSを作る際の4つのポイント
今回はだれでも簡単に作成することができるエクセルでの作り方をご説明します。
エクセルでWBSを作成する場合、これからあげる4つのポイントを参考に作成しましょう。
発生するタスクを細かく洗い出す
プロジェクト内で発生するタスクを漏れのないように洗い出していきます。
この際、一人でタスクの洗い出しを行うとどうしても漏れが発生しがちです。
あらかじめ関係者と発生する作業について認識を合わせたり、また、洗い出した後は必ずプロジェクト関係者全員に確認をとるようにしましょう。
もしくは、デザインについては、デザイナー、開発については、エンジニアといったように直接かかわるメンバーにタスクを事前に洗い出してもらうようにしましょう。
・洗い出したタスクを構造化する
洗い出したタスクを同じ範囲、レベルでまとめていきましょう。そして、どのタスクが深く関連しているのか、ということを大タスク、中タスク、小タスクといったように整理をし、構造化していくことでプロジェクトの全体像が把握しやすくなります。
・タスクの担当者を決める
各タスクの担当者決めを行います。
だれがどのタスクを責任もって実行するのかが明確にすることが目的の1つではありますが、それ以外に、この時点で各々が持つタスクのボリュームが把握できるので、負荷がかかりすぎないように調整が可能です。
・優先順位を決める
プロジェクトには多くのタスクが存在します。すべてが一律で同じ優先度ではないはずなので、タスクの中で優先度をしっかりと見極め、開始日・終了日を埋めていきます。
まれにプロジェクト管理者が思う優先度と他のメンバーが思う優先度に違いが発生することがありますので、決めた優先度については、プロジェクトメンバーに合意を取ることを忘れないようにしてください。
また、この時点で、当初予定されていたリリーススケジュールでの対応が難しいとわかる場合があります。その際は、無理にプロジェクトを進めようとするのではなく、リリース日の調整、もしくはメンバーの増員を相談するようにし、あとからリリーススケジュールの調整が発生しないようにしましょう。
続いでガントチャートの作り方になります。
ガントチャートの作り方
ガントチャート作成のための有料・無料ツールは数多くありますが、エクセルで簡単に作成することが可能です。本コラムでは先に説明をしたWBSと組み合わせることを前提でエクセルでのガントチャートの作成について説明します。
ガントチャートを作る際のポイント
ガントチャートを作る際は、WBSで洗い出したタスクの進行状況が直観的に把握できることがポイントとなります。
・土日や祝日がわかるようにする
土日、祝日の稼働は基本ないと思いますので、カレンダーを作成する際、土日祝日は作業対象外日とすぐにわかるように該当日はセルに色付けしておくのがポイントです。
・開始日と終了日入力で自動にチャート表示
各タスクの開始日、終了日入力することでその期間が自動でチャート表示されるようにしましょう。
これは、作業期間が明確となり、各々の作業目安が把握しやすくなります。
・「完了」のステータスでタスクをグレーアウト
ステータスが「完了」となった場合は、進行中のタスクと区別をつけるために、グレーアウトになるようにします。
グレーアウトにすることで、残りのタスクが明確になり、それらの進行管理に注視していくことができます。
上記3つのポイントはエクセルの【ホーム】→【条件付き書式】を利用することで簡単に対応することができます。
まとめ
「プロジェクトで発生するタスクをWBSで細かく洗い出し、そのタスクのスケジュール、進行状況をガントチャートで管理し運用を行っていく」
この工程をしっかりと行うことができれば、プロジェクトは成功すること間違いなしです。
今後プロジェクトを管理する際は、ぜひWBSとガントチャートを活用してみてください。
【無料】WBS+ガントチャートテンプレート
本コラムでは「WBSとガントチャートの違い」について説明をしてきましたが、実際にエクセルを利用して「WBS+ガントチャート」をどのように作成したらいいのか分からないという方はぜひこちらのテンプレートをダウンロードし、プロジェクト管理にご活用ください。